
「寝付きが悪いことが増えてきた…」
「いまいちやる気が出ない日ばかり…」
「死にたくなることがちょくちょくある…」
・・・
こんなことが続くと、「もしかして、自分『うつ病』かも…」と思って、
「病院にいったほうがいいかな…」とか考えたり、
ネットで「うつ病チェック」などをやってみて、
点数や重症度みたいなのを調べてみたりしませんか?
ここで、自分の感覚的にも身動きをとることすらつらいとか、
仲のいい人と会うことすらきついくらいの状態だったり、
「うつ病チェック」をやっても満点に近いくらいの
重症度の判定が出たりするなら、逆に迷うことなく
病院に行ったりできるのですが、
感覚的にそこまででもなかったり、
チェックの点数も中程度だったりすると、
「自分は本当にうつなのかな?」
「怠けてるだけなんじゃないのかな?」
なんて思ったり、
「もしもうつ病と診断されたら怖いな」とか、
もしかすると「うつ病になんかなるまいと思っていたのに…」のような、
認めたくないような気持ちもおありかもしれません。
こんなふうに自分がうつ(病)かどうか判断ができなくて、
もやもやと悩まれる方はとても多いです。
私も心理学や心理療法の勉強もなにもしていなかった若いころには、
ネットのうつ病チェックのようなものをやって、
「もしかするとうつなのかなあ…」と悩んでおりました。
ここで先に重要なことをお伝えしておきます。
悩まれているご本人にとって大事なのは病気かどうかではなくて、
自分がつらいかどうか、普段の生活や仕事、人間関係などで
困っているかどうかです。
今回の記事では自分がうつ病なのか判断がつかないもやもやを
ちょっとでもクリアにするためのお話をしていきます。
どこからどこまでがうつ?
『うつ病チェック』なんかで「6点以上はうつの疑いがあります」
なんて書いてあったりして自分は5点だったりすると
もやもやしたりしませんか?
「自分は十分つらいのに1点の差ってそんなに大きいの?」って
思うことはぜんぜんふつうです。
実はほとんどの心の不調って程度問題なのです。
それはなぜでしょうか?
『うつ』と一言でいってもやたらと
いろんな種類に分けられています。
「メランコリー親和型」「ディスチミア親和型」
「新型」「非定形」に「季節型」「産後」etc・・・
それに加えて似たような症状のもので
「適応障害」やら「気分変調症」やら…
正式な医学用語から、マスコミとかが作ったものが
広まったものまで数えだしたらキリがないくらいです。
きっと今後も増え続けるんじゃないかなと思います。
これだけでも病名をつけることに意味があるのかな、」
なんて思いませんか?
じゃあ現状どうやって精神科や心療内科の先生が
『うつ病』かどうかを判断しているのかといえば、
一応、アメリカ精神医学会のDSMなどの基準はあるにせよ
結局は直接本人や家族の方などと面接をして、
話を聞いて判断するという極めてアナログな方法なんですね。
まだまだマイナーなようです。)
もちろん、大学でしっかり勉強されて経験も積まれている
先生の判断はある程度の正確さはしっかりあると思います。
だけど、どこまでいってもひとりの人間の主観である以上は、
完璧ということはありません。
それに、病院に来られた患者さんの「話す内容」がもとになりますから、
(患者さんの)主観で話された内容を(医師の)主観で判断するという、
あらためて考えるとけっこうあいまいな
やりとりのうえでなりたっているんです。
でも、それはしょうがないんです。
だって、心は測れないから。
身体の病気ならレントゲンやCTをとったり、
血液検査をすれば基本的には数値や画像がはっきり出ます。
しかし心を機械で覗いたり、数値を測ったりすることはできません。
それでも、お医者さんは診断書や薬を出すために
どうしても診断を下す必要があるわけです。
だから、最初に行った病院と2つ目に行った病院で
違う病名が告げられるなんてことはよくあること。
そもそも、病気なのかそうじゃないのか、
きっちりと線引きできないことで悩まなくてもいいのです。
先に言ったように『自分自身がつらいと感じていたり、
困ることがあるかどうか』これこそが大事なんです。
ちなみに、診断をもらうことのメリットとデメリットもそれぞれあります。
心の不調を病院で診断してもらうことのメリットとデメリット
『うつ』を克服しようとするときに、
しっかりと『休む』ことが大事になるケースは多いです。
(もちろん、休むだけでは復帰してしばらくしたら元通りです。
休むことで不調を和らげたり、治療に専念できるようにするのが目的です。)
一般的な会社だと、ただ「気分が沈んでつらいです」という
主張だけでは簡単に休ませてもらえないのが現実だと思います。
そこで、『診断書』というお医者さんのお墨付きをもらって、
より確実に休みを取れるようにするという選択肢が出てくるわけです。
また、状態によっては傷病手当金や公的な支援なども利用できる、
といったあたりがメリットでしょうか。
逆にデメリットとしては、生命保険等に入るのやローンを組むのが
ものすごく難しくなるということがあります。
条件のゆるい商品もあるようですが、
一般的には一度心療内科や精神科に行ってしまうと、
通わなくなった後、5年間再発なしと判断されないと
自殺リスクがあるなどとみなされてしまうんですね。
(正直理不尽な話ですが。)
私も診断書をもらって休職したことがあるので、
その後生命保険に入れなくなったことが実際にありました。
もちろん、ご自身の心と身体の健康が最優先、
命を守ることが最優先なのは当然こと!
とはいえ、今後家を建てるから住宅ローンを組むとか、
結婚を期に生命保険に入ろうという予定が出てくることもあるかもしれませんので、
一応頭の片隅に置いておいておかれてもよいかなと思います。
ちなみに、病院やクリニックの中で受けるカウンセリングでなく、
独立開業のカウンセリングに関しては、生命保険に入れなくなる
ということはふつうありません。
心の不調を改善するのに大事なこと
今の心の状態がどれくらいつらいのか。
日常を過ごす上でどのくらい困っているのか。
この感覚をだれよりもよく分かるのはあなた自身です。
だから、
「うつ病と診断されるか微妙だな…
もしも、うつ病と診断されなかったら怠けということだから、
そんな判断されるのはイヤだなあ」
なんて考えてムリしなくてだいじょうぶですよ。
(うつが甘えや怠けでないということはこちらの記事にも
詳しく書いておりますので、ご興味があったらお読みくださいませ。)
あなたがこのままではつらいと感じているならば、
あなたにとってその“つらい”という感覚は本物なんです。
そして、その問題を解決するために、“専門家を使う”ことに
恥ずかしいことなんて何一つないです。
むしろ、現状を乗り越えようとする前向きな姿勢じゃないですか。
私も自分のところにカウンセリングを受けにきてくださる
クライアントさんを心の底から尊敬しています。
あなたが抱えているつらさから解放されて、
より生きやすく充実した人生を過ごせるよう願っております。

(購読の解除はメールのリンクをクリックするだけでいつでも可能です。)