こんにちは。
【オンライン心理カウンセリングなごやか】
心理カウンセラーのイヌカイです。
インターネット上のたくさんの情報の中から
この記事を選んでいただいてありがとうございます。
恋愛や友だち、職場の人付き合いで相手の態度や反応に
あいまいさを感じると、イライラしたり不安になって、
「私のこと好きなの?嫌いなの?分かんない!」みたいに、
その後ずっとぐるぐると考え続けたりしてしまいませんか?
さらに、その苦しい状態に耐えきれなくなると
「私のこと好きじゃないんだ…。
長引いてもっと傷つくより早く終わらせたほうがいい…。」と
一方的に別れを切り出してしまったりしたことはないでしょうか?
恋愛や人付き合いなんて自分には向いてないし、
相手に迷惑をかけるだけと思いつつも、
一方では好きな相手と幸せになりたいし、
色んな人ともっと楽に付き合えればなあという
反対の思いもあって葛藤でぐちゃぐちゃになってものすごく苦しいですよね。
この記事ではそんな人との関わりにおける『白黒思考』について解説しつつ、
克服していくための道すじになることをお伝えしていきます。
そこそこ長い記事ですが、休み休み読んでいただければOKです。
どうぞ、最後までお付き合いいただければ幸いです。
- 白黒思考に関して自分の心の中で何が起こっているのか分かる
- 白黒思考を和らげ、人との関わりを改善していく方法を知ることができる
- 白黒思考改善をしようとしたときの落とし穴に気づくことができる
白黒思考はデメリットが大きい
あらためてですが、ものごとを正反対の2つの極論で
考えたり判断してしまうのを
『白黒思考(black-and-white thinking)』や
『全か無か思考(all-or-nothing thinking)』といいます。
カウンセリングでよく使われる認知行動療法などでは
いわゆる「認知の歪み」の一つとされます。
最近は『デジタル思考』とか『ゼロサム思考』とも言うらしいですね。
白黒思考の例としては、
「正しい/間違い」しかないので、
「Aを取り入れつつ、Bを本線でいこうかな」のような
折衷案やバランス案を出せない、進められない
「100点/0点」しかないので、
「100点ではないけれど、70点分くらいはできた!
まあまずまずかな。」と自分を認められない。
などがあります。
完璧主義ともかなり共通しますね。
判断を素早くできるというようなメリットもあると言えばありますが、
白黒二極で考えたほうがいい場面はよほどの緊急時くらいしかないですし、
その時だけ白黒で考えればよいこと。
白黒思考をデフォルト状態にしておくのはデメリットが大きいです。
次にいくつかの代表例をあげてみます。
人間関係が続かず深まらない
『白黒思考』が恋愛や人間関係で発動してしまうと、
関係を維持するのが難しくなります。
相手が自分の求めていることを満たしてくれるような反応なら
「彼って最高!まさに私の理想の人!!」と
うれしさの絶頂で舞い上がってしまう一方で、
自分の求めていることをしてくれない、あるいは違うことをすると、
反射的に「私のことが好きじゃない。」
「私は嫌われている。」という考えが巻き起こってどんどん大きくなり、
不安や怒りのモヤモヤでいっぱいに…。
そうすると、モヤモヤに耐えきれず自分から縁を切ってしまったり、
逆に相手に答えを出すように迫ったりすることで相手が疲れてしまい、
結果として関係が壊れる…、というのがありがちなパターン。
関係が続かないということは、深くもならないということ。
社会で生きる動物である人間にとって「人とつながりたい。」は
基本的で大きな欲求。
それが満たされない苦しさとの葛藤は相当に苦しいです。
とにかく疲れる
感情のアップダウンが激しくなるので、疲れやすくなります。
自分が◎だと感じれば天にも昇るような嬉しさを感じる一方で、
×だと感じればどん底に叩き落されたような絶望感を感じる…
なんていうのは大げさな表現ではないのじゃないでしょうか。
しかも、この世の中で自分が直面することはたいていが
「グレーゾーン」です。
あいまいに耐えられないモヤモヤもストレスに感じることでしょう。
ジェットコースターのように感情が乱高下したり、モヤモヤを抱え続けることは
心だけでなく、脳・神経とつながる身体まで疲れさせることになります。
仕事や趣味でも成長しづらくなる
仕事でも趣味でもある程度は続けていかないと、
スキルが身につかなかったり、面白さが分からなかったりします。
本当に自分に向いていないかどうかも同じように一定量は
続けてみる必要があることがほとんど。
ところが、少しつまずいたり、ちょっとした失敗があったりすると、
もう次の瞬間には
「自分には向いてない。」「もうダメだ。」と判断してやめてしまう。
そうすると当然ですが、経験も積めず成長していけません。
職場をすぐに辞めてしまうことが続けば、
経歴から“仕事が続かない人”と判断され、
再就職もだんだん難しくなるかもしれません。
白黒思考の原因として考えられること
人間の心は複雑な要素が絡み合うので、ここにあげることが
当てはまらないこともあるかと思います。
改善には必ずしも原因追求が必要なわけではありませんので、
参考程度にしていただければ幸いです。
小さいころの親子関係
かなり専門的な話になってしまうので、ざっくりとした説明になりますが、
物心つく前の小さな子どもの頃に、
情緒不安定で感情の上がり下がりが激しい母親(もしくは代わりの人)と
接していると白黒思考になりやすいと言われおり、
いわゆる過保護・過干渉や虐待、極度に厳しい躾なども影響は大きいと考えられます。
人間は赤ちゃんから成長していく中で、
安心したり満足したりする経験をしていくうちに、
だんだんと不快な体験があっても耐えられるようになっていきます。
また一方で、親が過保護・過干渉だったりしていつも期待に応えていると、
「必ずいつも自分に応えてくれる人はいないんだ…。」という体験ができません。
この体験はものすごく哀しいことではあるものの、
とても大事な体験で世の中の現実を受け入れる第一歩です。
それがしっかり経験できないと、世の中の出来事はたいていがグレーであり、
どんな人にも自分が受け入れられる部分もそうでない部分が
同居しているということが腑に落ちず、
理想的な面を見れば“あり”になり、少しでも理想的でない部分が
見えてしまうととたんに“なし”になる、これまた白黒思考の元となります。
神経の緊張・興奮しやすさ
人間も含めた動物はピンチを感じると神経のスイッチが
緊張・興奮モードに入って「戦うか逃げるか」という2択のモードになり、
これが物事の判断に反映されると白黒思考になります。
これはたとえば目の前にでっかいヒグマが飛び出してきたとします。
そんな状況ではじっくりと作戦を考えていたらやられてしまいますから、
火事場の馬鹿力を絞り出して戦って追い払うか、
全身全霊でダッシュして逃げるかを瞬時に判断する必要があります。
現代社会ではそんなシチュエーションはよほどないのですが、
先にお話しした親子関係や学校でいじめられた体験などのせいで安全感が育まれず、
「この世は危険な場所だ。」という前提が心の根っこにインストールされていると、
警戒心が過剰になり、スイッチが「戦うか逃げるか」に入りやすくなります。
人生経験の少なさ
そもそも知識や経験が乏しいといろいろな面から物事を見ることはできません。
仕事をしたり、様々なタイプの人と付き合ったりして
人生経験を積み重ねていくうちに、多角的な視点が備わってくるものです。
先にお話した親子関係や神経の状態の影響がそこまで大きくなければ、
歳をとるにつれて改善していくこともままあります。
白黒思考を和らげていくための3ポイント
原因の項目を読んでいただいたりすると、
白黒思考ってもしかしてかなり根が深いのかな…と
身にしみてしまうかもしれませんね。
実際にカウンセリングでも長期戦になることも少なくありません。
だとしても、コツコツと積み上げていければ
全く変わらないということはないです。
ここでご紹介する内容が全てではないですが、
知っておくだけでも違うはず、という内容をお伝えします。
白黒思考が改善したかどうかを白黒思考で判断しない
白黒思考を改善していくとすると、
目指すべきところはいわゆる「グレー」な状況を許容でき、
人間や出来事には色々な面があることを理解して納得できるようになることです。
ただ、これって白黒思考を長年してきた方にはそもそもハードルが高いことです。
先程お伝えした通り時間をかけてコツコツ取り組んでいく必要があります。
そこが分かっていないとちょっとだけ試して
「なんだ、ダメじゃん。意味ないわ。」と白黒思考を改善していく取り組みすら
『できた/できていない』
『治った/治っていない』と
白黒で判断してすぐに切り捨ててしまうことに…。
変な話ですが、「効果があるような気がするし、ないような気がする…」
のようなことを続けることそのものが、微妙なグレーの状態にさらされる
トレーニングなのです。
点数を細かくつける練習をする
なにか自分にとって重大だと感じられる出来事があったり、
気になる言葉を受け取ったときに、
白黒思考の人は100点満点か0点かで判定しがちです。
たとえば、まだつき合っていないけれど気になる相手がいるとします。
その相手とデート後に「今日は楽しかったね。」的な
LINEをしたけれど1時間経っても返信が来ない…。
そんなときに
「あー、ダメだ。すぐに返信が来ないということは、脈なしってことだ。」
みたいにすぐ判断してしまったとしたら、
瞬間的に0点判定をしたということですね。
でも、実際のところは分かりません。
私たちは何でも見通せる神様ではないですから。
もしかしたら疲れてすぐに寝てしまったのかもしれないですし、
スマホの調子がよくないのかもしれません。
逆にもっと状況は悪いことだってありえます。
自分よりもっと親密な相手がいてその人と長電話しているのかもしれません。
でも結局はやっぱり分からない。
100点とも0点とも言い切れないとしかいいようがないのです。
こういうときに、自分の予測でいいので
点数をつけてみるのはいい練習になります。
「たしかに、本当に自分に気があればすぐに返信するような…。
でも今日は朝から一日歩いたから疲れもかなりあるよね…。
今のところは脈アリ度60点くらいかなあ。」みたいな感じ。
いきなり細かくつけるのは難しいですから、最初は5段階くらいでだいじょうぶ。
慣れてきたら10段階くらいにチャレンジしてみてください。
10段階くらいでできるようになれば実生活上では問題ないと思います。
感情に寄り添う
つい白黒思考をしてしまう背景には、さくっと白黒つけないことに対する
不安感やさみしさなどによるモヤモヤ感がひそんでいたりします。
こうした感情に後押しされることで、
オートマチックに思考がわき出てしまうわけです。
その感情に目を向けて、理解して、認めてあげるような
コミュニケーションを自分から自分に向けるということができると、
かなり落ち着きを取り戻せるようになってきます。
あくまでも一例ですが、自分から自分に向かって
こんなことを言ってあげるとどうでしょう?
「なーんか、すっきりしないよねえ。」
「もやっとしてイヤーな気分だね。」
ただ単純に白黒思考に陥っているときの気持ちをそのまま言ってるだけですね。
それだけでもけっこう「そうなんだよね…。」と
少し楽になったりすることも。
それか、もしかすると
「もう限界!ウギャアアア!って叫びたいくらいだよね!」
「耐えるのムリっ!てくらいきついよね!」と
言うほうがしっくりくるでしょうか?
どんな気持ちや感情も感じてはいけないものなどはありません。
それにつられて思考が偏ってしまったり、
損をするような行動に移ってしまうことが困るだけです。
感じていることは事実なのだし、感じるだけなら
誰にも迷惑をかけるわけじゃないので、認めてあげたら良いのです。
感情がむちゃくちゃに強いとなかなかむずかしいときもありますが、
自分が感じている感情に目を向けることはとても大事なことです。
白黒思考に限らず、感情に対する客観性が育つことは
メンタル不調改善には欠かせない要素の一つ。
客観性という点ではマインドフルネスを練習するのも
良い方法の一つですね。
神経の緊張・興奮を和らげるのにも役立ちますよ。
白黒思考について:まとめ
長い記事をここまでお読みいただきありがとうございます。
なにかしらお役に立つ情報がありましたでしょうか。
どうしても突破口が見えないようならカウンセリングの利用を
検討されるのも良いかと思います。
では、今回のまとめです。
- 白黒思考はメリットよりもデメリットが圧倒的に大きい
- 白黒思考は原因の根が深いことも多い
- 白黒思考の改善はじっくりコツコツが大事
- 白黒思考そのものが改善を妨げることも
以上、この記事がお役に立ちましたら幸いです。
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