こんにちは。
【オンライン心理カウンセリングなごやか】
心理カウンセラーのイヌカイです。
インターネット上のたくさんの情報の中から
この記事を選んでいただいてありがとうございます。
なにかミスや失敗をするたびに、
つい「私なんか全然ダメだ…」
「自分ホントにクソだな!ゴミだな!」
「いいところなんかなんにもないわ。」なんて、
自分自身のことを罵倒したりしていませんか?
やめたほうがいいことは分かってはいるんだけれど、
でもついやってしまう。
無限ループから抜けられない…。
この苦しさがこのまま続くと思うと、
大げさかもしれませんが絶望感すらわいてしまうかもしれませんね。
もともと別の悩みでカウンセリングに来られた方でも、
「自己否定」がクセになって治らない、やめられないことが
その悩みを悪化させていることもよくあります。
ただ、逆に言えばこの「自己否定」が改善されると、
他の心の悩みがドミノ倒しのように連携して
楽になっていくという現象も往々にして起こることです。
この記事では「自己否定」を正しく理解しつつ、
治していく道筋や自分でも取り組める方法などをお伝えしていきます。
そこそこのボリュームの記事ですが、
最後までお付き合いいただければ幸いです。
自己否定ってそもそもどんなこと?
「自己否定」と調べてみるとWikipediaには
自分自身を否定すること、自己がそれまでの自己であることをやめること
Wikipedia
とあります。おおむね読んで字の如しですが、ここでは
『自分自身の存在、能力、行動などを認めないこと、嫌うこと』としましょう。
「自分なんかいなくなってしまったほうがいい。」
「私なんかみんなにとって要らない人間なんだ。」
「俺は結局なにやってもうまくいかないんだ」
こんなような言葉が頭をよぎるのであれば
まさしくそれが「自己否定」ですね。
完全な悪モノのように思えますが、必ずしもそうとは言いきれません。
現状の自分を否定することで、努力するための発奮材料的な
エネルギーとなる面もあるからです。
こうした努力によって手に入れたもの自体は尊いものではありますが、
一方で自己否定をエネルギー源とした努力は最終的に
燃え尽きのような、メンタル不調につながりやすい点が困ったところでもあります。
自己否定グセの原因として考えられること
育ってきた環境
一番よくありがちなのは、家庭や学校などで認めてもらう、ほめてもらう、
労ってもらう、分かってもらうという経験が極端に少なかった、
あるいはその逆で「ほんとにあんたはダメだね!」のような
否定的な物言いをされ続けてきた、
いじめられたりバカにされたりという体験を積み重ねてきたなどです。
小さな子どもにとっての“家庭”や、小学生くらいの子どもにとって“学校”は
世界そのものといっても過言ではないと思います。
親や友だちとの関係は私達大人が考えるよりもはるかに重大なもので、
しかも毎日毎日続いていくのですから、そこでのやりとりが
その後も大きく影響を与えるのは当然ですよね。
もちろん、虐待やネグレクト(育児放棄)なども原因になりえます
また、親が過干渉でやることなすこと何でもかんでも手出しをされたりすると、
自分でやりきった経験が持てず、自信が育たないということもあります。
大きなショックを受けた経験
自分にとってものすごく重要なものごとで失敗したり、
それをさらに責められたりという経験をすると、
それをきっかけに自己否定が根付いてしまうこともあります。
たとえば、受験で失敗した、スポーツの試合で勝敗に関わるミスをした、
恋愛などでひどい裏切られ方をしたetc…。
こんな思いは二度とごめんだとばかりに、自己否定だけでなく、
無理にがんばってしまうこともクセになってしまうこともよくあります。
記憶がトラウマ的になっているとも言えるかもしれません。
日本の文化
背景として日本の謙遜を美徳とする文化やムラ社会的価値観が
あるところも見逃せないところです。
たいていの日本人なら「いえいえ、私なんて。」と言った
経験があることと思います。
また、横並びを良しとして、目立つ人の足を引っ張るなんていうのも
今だになくなりません。
こういったこと自体が決定的な悪影響を与えるとまではいきませんが、
『自己否定グセ』がある状態を容認し、悪化させてしまう要因と
なっている可能性は高いと考えられます。
心身の著しい疲労
休みも取れず激務が続いていたり、精神的なストレスに
さらされ続けるような状態が続くと身体の一部である脳も
疲れ果ててはたらきが大きく鈍ります。
前向きな気持ちもわきづらくなりますし、
本来の能力も発揮できなくなっていきます。
上記のような要素と組み合わさって余計に自己否定を
強化するという悪循環が起こりやすくなります。
自己否定が止まらないことはデメリットが大きい
先にお伝えしたように、自己否定が努力のための発奮材料に
なることはありますが、
長期的にみれば、結局道半ばで折れてしまうことが大半で、
もしも目標を成就しても虚しい気持ちが消えないような状態になりがちです。
自己否定は自分を痛めつける
自己否定は自分で自分をムチで叩いているのと同じことです。
はじめはその痛みで気合いを入れて全力ダッシュできるのかもしれません。
でも、そのうちに皮も剥がれて、血も流れてきます。
それでも続ければ骨が見えるくらい肉がえぐれてくるでしょう。
そこまでいってしまったらしばらく立ち上がるのもムリになってしまいます。
ショッキングな例えで恐縮ですが、
それだけ自分の心にとって過酷な行為だということです。
自己否定は行動力を奪う
自己否定グセがある人の多くは「完璧主義」や
100点満点か0点でものごとをとらえる「白黒思考」の傾向があります。
「完璧主義」や「白黒思考」があると、自分の能力や仕事・勉強等の結果、
人間関係なども基準に満たないことは
「こんな程度はできてるうちに入らない。」と思って自己否定モードに入り、
自分を認めることができず、自信が育っていきません。
そうするといざ大事な場面で「私ごときでは挑戦する資格はないから…」と、
チャレンジを避けてしまったり、取り組むものごとは
決めた段階までやりきらないといけないと思うがあまり、
結局それがプレッシャーになって行動に移れないということにもなりがちです。
人間は失敗から学ぶことが大きく成長していくためには必要不可欠ですが、
「完璧主義」は失敗することを許せないですし、
「白黒思考」は失敗に意味を認めず切り捨ててしまいます。
そうすると結果的に成長することができず、
さらに成長できない自分を否定するという
とんでもなく苦しい悪循環に陥ってしまいます。
また、人と比べてしまったり、
評価基準を他者に合わせる傾向もよく見られます。
人間が元から持っている才能や得意・不得意は千差万別。
早熟タイプもいれば大器晩成タイプもいます。
自分とは違う遺伝子を持って、違う環境で育ってきた人と
ペースが違うのは当然なのですが、
つい「あの人は同期なのに私より全然実績を出している…。」
「どうせ私なんてあの人には敵わない…」
といったように、ことあるごとに落ち込みがちです。
さらに、だれかから注意されたり低い評価を受けると、
ただでさえ自己否定しているのに、
「他人からも否定された!自分はやっぱりダメ人間なんだ…」と
さらにどん底に落ちてしまうため、それを避けるように
自分の本音を出さなくなったりもします。
所詮価値観も人それぞれ一つとして同じものはないので、
必ず他人から良い評価をもらえる保証なんかありません。
本当の意味で自分を認めてあげられるのは自分しかいないのですが、
そこで自己否定がはじまってしまうと、やはり本来できるはずの行動が
大幅に制限された状態になってしまいます。
自己否定は人を遠ざける
「自分なんて全然ダメで…」とつい友人や同僚に自分を否定するような
話をしてしまったことはありませんか?
相手の許容範囲であればいいですが、度が過ぎる自己否定は
話しを聞く側の手の側も嫌な気分になりがちです。
「こいつ、そんなことないよって言ってほしいのか?」と
感じればイライラしますし、
「せっかく励ましてるのに、聞く気もないなら最初から話すなよ。」と
徒労感を感じているかもしれません。
人は社会で生きる動物です。人とのつながりなしに生きていくことは
不可能ではないかもしれませんが、充実した人生を送るのは
まずムリなのではないでしょうか。
自己否定の治し方ー最初の一歩は?
ここからは自己否定を減らすためにまずできる取り組みを
2つご紹介しようかと思いますが、
その前に陥りがちな“罠”についてお伝えしておきます。
強引なポジティブシンキングは×!
自己否定グセを改善していこうとしたときに、
浮かぶ考えや言動などをポジティブに変えていこうとか、
ポジティブな体験を見つけたり書き留めたりしていきましょうという
アドバイスをされることがよくあります。
自己否定が弱まって余裕が出てきた頃にはいいのですが、
まだまだ自己否定が強固な人には正直むずかしいことが大半です。
やってはみたものの、うまくいかなかった、続かなかった、
という声を伺うことも多いですし、
ポジティブになれない自分をまた責めるような状態に
陥っている方もいらっしゃいました。
ポジティブな気持ちや考えは本来自然にそうなれるからこそよいのであって、
本音でそう思えないのにゴリ押しするということは、
自分に対する「お前のそのネガティブはダメだ!ポジティブでいかなきゃ!」
というメッセージです。
これって結局ネガティブにとらえてしまう自分を否定していませんか?
自分で自分のことを否定するという構造からなにも変わらないのです。
以上から自己否定を“変える”のではなく“弱める”“消す”ことが、
まずは優先となってきます。
自己否定の言葉を封印するイメージワーク
1つ目にお伝えする方法は根本的な改善には結びつきづらいものの、
うまくハマるとしばらく心の中の自己否定の言葉がわきにくくなる、
しんどいときに使える応急処置的な方法です。
次の手順で実際に動いたりしながらイメージしていきます。
1.自己否定してしまった場面を思い出して、
その声がどの位置(前後左右高さ)から聞こえるかを見つける。
たとえば、右後ろの頭の上10cmくらいなど。
2.1で見つけたあたりをガシっとつかんで、
頑丈な金庫に入れてカギを閉めるイメージをする。
実際に動いてやるのがおすすめ。
3.金庫をどこかものすごく遠くにやってしまうイメージをします。
定番なのはロケットにくくりつけて飛ばす。
海に放り込んで沈めてしまうなど。しっくりくるものでOKです。
4.自己否定の声がしなくなったり、小さくなったりしたのを確認する。
まだ気になるようなら1から繰り返す。
私も昔休職するくらいに調子を崩したときにはこのワークを
ちょくちょくやっていました。
ただ、しばらく時間が経つと自己否定の声が結局復活してしまうんですよね。
そこで、いつでもできて心の体質改善にも効果の高い
次の方法を日常的に使っていくのがおすすめです。
自己否定の言葉を上書きしよう!
自己否定や自分を責める言葉を別の言葉を繰り返し言うことで
かき消してしまうという方法です。
とりあえず消すだけなら「寿限無」を一気読みするなり
「破道の九十 黒棺」を詠唱するなり、なんでもいいといえばいいのですが、
せっかくならより心に良い影響がある言葉がベター。
だからと言って先にお伝えしたように、無理やりポジティブな言葉はアウト。
たとえば、「私なんか全然ダメだ…」というのに正反対の
「私は優秀な人間だ!」なんて言うのは、
ギャップが大きすぎて違和感や反発を強烈に感じてしまうと思います。
そうなると、続けるのも嫌になってしまったり、
変なテンションになって空回りしたりしてしまうんですよね。
ここでフィットするのは違和感・反発0ではないけど、
まあ嘘でも盛りすぎでもないよね、
マイナスから一気にプラスにはならないけど、
0(フラット)には近づくかなというくらいの言葉です。
と言われてもピンとこないですよね。
なので、ここでは例としてカウンセリングで
よくお伝えしているものの一つをご紹介します↓
『私はじゅうぶんよくやってる。』
これをとにかくおまじないのように繰り返し唱えます。
人前だと心の中で言わざるを得ないのですが、
自室などの誰にも聞かれないところなら、
ボソボソと声に出すと効果が高いです。
やってみると分かると思いますが、
自己否定の言葉を心や頭の中で自分に言いつつ、
同時に『私はじゅうぶんよくやってる。』と
ボソボソ言うのってものすごく難しいです。
(少なくとも私はできない…)
それでも、しばらくすると、
やはり「いや、会社の他の人はもっとやってるし…」のような
反論が浮かんできたりするのが普通です。
そんなときには、
「そうだよね、他の人と比べると自分はまだまだって思っちゃうよね。」のように
その気持ちを認めて受け入れる言葉を自分にかけてあげてみてください。
そうすると、少しホッとしたり、落ち着いたりしてきますので、
またあらためて『私はじゅうぶんよくやってる。』と繰り返していきます。
また、自己否定の盾が堅すぎていきなり自分で言葉を口にしても、
全部弾かれてしまうような方も多いです。
その場合はセルフで取り組むのは限界があるので、
カウンセリングを利用いただくのがおすすめです。
カウンセラー側からアレンジを加えつつ相談者さんに言葉をかけるなど、
セルフではできない様々なアプローチがあります。
カウンセリングをきっかけに自己否定の盾にひびが入ると、
その後セルフで取り組みやすくなって改善も進みますよ。
自己否定について:まとめ
いかがでしたでしょうか。
できそうであれば、まずは自分で取り組んでみるのがおすすめです。
どうしてもうまくいかなかったり、トラウマなどがありそうな場合は
カウンセリングをご利用されることをおすすめします。
(もちろん、私に限らずご自身に合いそうな方が見つかるとよいですね。)
では、今回のまとめです。
- 自己否定は続ければ続けるほどデメリットが大きくなる
- 強引なポジティブシンキングは逆効果になることも
- 自己否定はまずは上書きしていくのがおすすめ
- 一人でうまくいかないときはカウンセリングの利用もあり
以上、この記事がお役に立ちましたら幸いです。
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