こんにちは。
【オンライン心理カウンセリングなごやか】
心理カウンセラーのイヌカイです。
インターネット上のたくさんの情報の中から
この記事を選んでいただいてありがとうございます。
過去の自分が許せない、
もう思い出すだけで頭抱えて叫びたくなってしまうくらい苦しい。
というお悩みはよくカウンセリングの中でも話題になります。
「そんな自分を許してあげましょう、そこから初めて前に進めるんです。」
みたいなもっともらしいことを言われても、
それができないことが余計に苦しさを加速させることすらないでしょうか?
たしかに、『過去の自分が許せない』気持ちは解消できたほうが、
メリットは大きいかと思います。
ただ、“許す”という言葉に反感や違和感を感じることも
おかしなことではありません。
この記事ではそのあたりも含めて考察しつつ、
『過去の自分が許せない』気持ちから抜け出していく
3ステップを解説していきます。
- 思い出すたびに苦しくなることがなくなる
- 『許す』ことに対する違和感や反感がすっきりする
- 自分にも自分以外の人にも優しくなれる
- 前向きに考えられることが増える
自分を許せないことのデメリット
まずは一旦『許せない』という言葉の正否・正誤は置いておいて、
『自分を許せない』ことによる代表的なデメリットを考えてみたいと思います。
自分が嫌いになる
過去の自分も自分の一部。
それに対する拒絶感や嫌悪感を抱き続けていれば自分のことが嫌いになる、
あるいは好きになれないのは当然のことですね。
自信も付きづらくなるでしょう。
ネガティブな思考が多くなる
許せないという気持ちが残り続けているなら、
今同じようなことが起こっても同じ気持ちになるということ。
そうするとその気持ちに引っ張られるように
思考(考え事)も暗く重いイメージばかり出てくるようになります。
他人に厳しくなる
自分自身が許せないということは、
もしも同じようなことを他人がしても許せないということ。
自分に対してと同じように責めてしまうこともあるかもしれないし、
表面上「別にだいじょうぶ。」と言えても、
心の中にはフラストレーションを抱えてストレスを蓄積させていくことになります。
幸福感を感じにくくなる
人間はただでさえ欠点や劣った点に注目しがちな生き物。
ずっと自分の過ちや欠点を気にし続けている状態では、
本来楽しい、幸せと感じられる出来事があっても、
スルーしてしまったり、感じないようにしてしまったりしがちになります。
どんな過去の自分を許せませんか?
どんな過去の自分が許せないのかは人それぞれあると思います。
よくあるパターンとしてはこのようなことでしょうか。
- 思い描いていた理想に届かなかった
- 傷つけた、迷惑をかけた
- 失敗した、恥をかいた
- やるべきことができなかった
- 期待に応えられなかった
「あの時サボらずもっとがんばっていたらうまくいっていたのに。」
「あんなこと言わなければよかった。」
ついそんなことが頭をよぎってしまいますよね。
でも、まず知っておいてほしいのは、
人は何かをするとき常にその瞬間でのベストを尽くしていること。
(たしか、作家の森博嗣先生が何かの著作で同じようなことをおっしゃっていたと思います。)
結果だけ見ればうまくいかなかったのでしょう。
でも、脳も含めて体の調子が万全でなかったのかもしれない。
単純にまだまだ能力が足りなかったのかもしれない。
運に恵まれなかったかもしれない。
周りの人との関係が悪かったのかもしれない。
だけど、そのときできる範囲の中では精一杯の力を発揮したはずなんです。
もしかしたら、理屈ではそれが分かっても、
やっぱり“自分が許せない”という気持ちは収まらないかもしれません。
そうだとしたら自分が自分の意思だけで動いているという
カン違いもあることを知っておくとよいです。
人間は「こうしよう。」とわざわざ考えて
全ての行動をしているわけではありません。
過去のパターンの蓄積や本能的な機能によって、
自動的に行っていることのほうがむしろ多いくらいです。
そして、それを身に着けたことすら意識的に行ったわけではありません。
また、人間の生物としての本能もあくまで自分の命を守るために働きます。
過去の自分のさらに過去の自分にまで原因を求めていると
堂々巡りになるだけで意味がないのです。
過去のあなたに一切責任がないとは言いません。
だからといって全てを背負う必要もありません。
せめて半分くらいは荷物をおろしてみませんか。
『許す』ってなんだかなあ……
そもそもの話ですけど、「自分を許しましょう。」という言葉に
なんか違和感というか気持ち悪さというか、
さらに言えば押しつけがましい感じってしませんか?
特にしないですという方はここは読み飛ばしてもらえればいいのですが、
そういうふうにおっしゃる方って結構多いので…。
私も実はわりとそう思うんですよね。
これって多分ですが、『許す』っていうのが「上から目線」だからなのが、
一因ではないかと思います。
たとえば、自分が何かをやらかして誰かに許してもらうっていう
シチュエーションを想像してみてください。
許しを請う相手って立場が上であったり、
普段は対等な友人などであっても、
負い目があるから一時的に自分が下になりませんか?
実際の対人関係であれば、しょうがないときもありますが、
自分から自分に対して上下関係を作るのもおかしくないでしょうか?
自分から自分に「許してあげる。」なんて偉そうに言われても
なんだかもやっとしませんか?
先にお伝えしたように特になにも感じなければ問題ないとは思います。
でも、なんか引っかかる感じがあるならその感覚は別におかしくありません。
「自分で自分を許せないのは未熟なのかな…」のように
悩む必要もないということを覚えておいてくださいね。
『過去の自分を許せない気持ち』から抜け出す3ステップ
許す許さないはとりあえず置いといて、
少なくとも過去の自分に嫌な気持ちを抱いて
とらわれ続けている状態から抜け出していくには、
こんな順に進んでいけるといいよねというステップをご紹介します。
できそうならまずは自分で試してみつつ、
やっぱむずかしいなと思えば、カウンセリング・セラピーを
利用するのもありかと思います。
ステップ0:自分を「今ここ」を感じている状態にする
3ステップの中では過去の自分を振り返っていくことになるのですが、
それを行う前に前提として大事なことをお伝えしておきます。
3と言いながら実質4つになってしまうのですが大目にみてくださいませ。
過去を振り返るときには『今』の自分から「過去」の自分を見ることが超重要です。
なんでかというと、許せないと思っている過去、
その瞬間の自分と一体化するような思い出し方をしても、
嫌な気持ちをもう一度味わうだけで、
なんなら逆効果になることすらあるからです。
そうならないためには自分が「今ここ」にいることをしっかり感じたうえで、
振り返るということが必要です。
たとえば、足の裏の感じている感覚に意識を向ける、
部屋の中をキョロキョロと見回して目についたものを口に出していくなどです。
五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)で感じていることが、
まさに「今ここ」で感じていること。
順番に、あるいはいくつか同時に感じてみましょう。
緊張感が強いようなら呼吸から整えていくのもありです。
(こちら↓の記事も参考にしてください。)
気分が落ち着いてくる感じが出てくれば◯です。
どうしても落ち着けなかったり、
過去の自分を振り返ることに強い恐怖や抵抗感があれば、
絶対に無理はせず、専門家にご相談されることをおすすめします。
ステップ1:過去の自分を理解する
まずは単純に過去の自分を理解することがスタートです。
その行動・言動をすることで自分にどんなメリットがあったのか、
どんな気持ちや感情、思いがあったのか、
自分にとって肯定的な目的や意図はあったのかなど、
思いをめぐらせてみましょう。
正確である必要はそこまでありません。仮説でも十分。
思いつくまま淡々とリストアップしていけばOKです。
今になって思えば短絡的だなあとか幼稚だったなあとか、
自分に対して厳しめの思いがわいてくるかもしれませんが、
まずは一旦置いておいてください。
いろいろな思いや考えが出てくることもあれば、
ひとつふたつくらいかもしれません。
ただ、どんなものが出てきたとしても、
それは先に述べたようにその時の自分としての
ベストだと判断したことをしただけです。
大体の場合において、自分の安全や幸せ、自由、尊厳などを
守ろうとしただけである可能性大なのじゃないでしょうか。
ただ単純に理解する、知るということだけでも
きっと怒り、恨み、罪悪感、恥辱感などの
自分に向かうネガティブ感情は和らいでいきます。
過去のあなたは悪意にまみれていたわけでもないし、
無責任人間だったわけでもなく、
ただ知らないことが多かったり、力不足だっただけ。
他の人達と同じただでさえ不完全な人間であり、
そのうえ成長過程でたまたま失敗しただけだったんです。
ステップ2:過去の自分にいたわりの気持ちを向ける
理解ができたら気持ち的にはだいぶ和らいだ感じになると思います。
そうしたら次のステップでは過去の自分に
いたわりの気持ちを向けていきます。
これが『許す』ことと似て非なるところですね。
『許す』というのは先に説明したとおり“上から目線”。
過去の自分に対して思いやりのあるいたわりの気持ちを向けるのは
“横から目線”とでも言うのでしょうか。
要は親友のように過去の自分の横に並んで
肩や背中を優しく叩いてあげるイメージ。
そして、そのイメージを持ちながらステップ1で理解した
過去の自分に対して言葉をかけてあげましょう。
どんな言葉がしっくりくると思いますか?
別に結果を無理に正当化する必要はありません。
とりあえずうまくいかなかった、やらかしてしまったなどの
後悔系の気持ちがありそうですね。
そうだとしたらその気持ちを受けとめてあげるようシンプルに
「くやしかったね。」
「恥ずかしかったね。」
「申し訳なくてたまらないよね。」とかではどうでしょうか?
いろいろと試してみて、しっくり来る言葉を探してみるといいと思います。
もしかしたら「もう、あーーーーっ!って感じだよね。」みたいに
言葉にならない叫びみたいなほうがはまるのかもしれません。
それで少しホッとした感がでてきたら、
当時の行動・言動などの結果ではなく、
その瞬間にはベストを尽くしたことをねぎらってあげるといいですね。
「あのときはあれで精一杯だったんだね。よくがんばったね。」
「結果は最善じゃなかったかもしれないけど、最善を目指したことは素晴らしいよね。」
と言った感じです。
少し長い言葉にするのは意外と難易度が高いので、
できないからといって落ち込まなくてもだいじょうぶですよ。
カウンセリングでもセルフワークのときは
シンプルな言葉から始めてもらって、
少し応用的なところはカウンセリングの中で
体験しながら掴んでいってもらう流れが多いですね。
過去の出来事そのものは変わりません。
だからこそ、その過去の自分に対する思いを
変えることが必要なのです。
たくさんの過去の自分(の経験)が今の自分をかたち作っているのだから、
大切な一部として活かすことができたほうがいいですよね。
ステップ3:過去の自分を活かす
正直なところステップ2までができれば、
このステップ3はそこまで重要ではないのかなというか、
自然にできてくるんではないかと思います。
人間って結局は成功よりも失敗から学ぶもののほうが大きいじゃないですか。
だから、過去の自分から何かを学べて、
それが今からの自分に力をくれれば最高ですよね。
ネガティブな気持ちが湧き上がる出来事からは、
つい目をそむけてしまいたくなります。
霧が濃くて正体がはっきりと見えないものは
不気味で怖いのと同じようなもの。
だけど霧が薄くなり晴れてきて段々と正体が見えてくると、
なんだこんなものだったのかとなるわけです。
万が一、はっきり見えたものが脅威だったとしても、
正体が分かれば対応を考える精度も上がります。
過去の事実がどうせ変わらないなら、
今これからの自分にとって有益なものにしたほうがお得ですよね。
過去の自分が許せない:まとめ
以上、過去の自分が許せないことについて解説させていただきました。
過去の自分も自分の一部。
良くも悪くもあなたをかたちづくっているものです。
拒むことなく受け止めることができれば、
もっとの役に立つことでしょう。
では、今回のまとめです。
- 過去の自分を許せない気持ちがあるとデメリットが大きい
- 人間はその瞬間ごとのベストを尽くしている
- 『許す』という言葉は上下関係を作る
- 過去の自分を理解し、いたわっていくことが重要
最後までお読みいただきありがとうございます。
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