こんにちは。
【オンライン心理カウンセリングなごやか】
心理カウンセラーのイヌカイです。
インターネット上のたくさんの情報の中から
この記事を選んでいただいてありがとうございます。
「どうしても前向きになれない。
ネガティブなことばっかり考えてしまう。」
カウンセリングで話題にあがることもよくあるお悩みです。
ずっとこのままの状態ではまずいと思えば思うほど、
より苦しくなるし、なかなか抜けられなくて焦りまでわいてくる…。
長く続けば続くほど、将来への希望もなくなるし、
何よりも今楽しくない。
考え方ひとつと言われればそれまでかもしれないけれど、
つらいものはつらいですよね。
この悩みを楽にしていくには、
『前向き・ポジティブが果たして本当にいいことなのか?』
という視点をまずは持つことが欠かせません。
そのあたりも含めて原因や対処方法などを詳しく解説していきます。
ちょっと長めの記事なので、
何回かに分けてお読みいただければ大丈夫です。
どうぞ最後までお付き合いいただければ幸いです。
- 自然にほどよく前向きになるための道筋が分かる
- 誤った前向き志向で余計に苦しくなることを避けられる
- 心の中のバランスを適度にすることの大事さが理解できる
前向きって気持ち悪くない?
まずはじめに言っておきます。
“前向き”な姿勢や考えについて
「なんか気持ち悪い。」
「うざっ。」
「うさんくさい。」って感じること。
これ別におかしなことではありません。
理由はこの先を読んでいただけば分かってくるところなので、
もしそう感じてもその感覚はそのまま持っていてもらって
問題ないです。
もちろん、そう思わなくてもOKです。
前向きってなんだろう?
で、そもそも“前向き”になるって何?
というところなんですが、
とりあえずググってみると
物事に対する姿勢が積極的、建設的であること。
デジタル大辞泉
と出てきます。
いわゆる“ポジティブ”とほぼ同じ意味と
考えていいのかなと思います。
日常の会話の中では「ものごとを良いようにとらえる。」という
言い方をするときもありますよね。
極端なたとえですが、仕事や人間関係で失敗したときに
「なるほど!ひとつ勉強になった!また自分は成長したぞ。」のように
とらえるのが“前向き、
「どうせ自分はまた失敗して迷惑をかけるんだ…。」のように
捉えるのが“後ろ向き”。
あるいは自分の将来について
「やりたいことがたくさんある!楽しみ!」と思えれば“前向き”、
「お先真っ暗。この先も良いことなんてないだろうな…」と
思うなら“後ろ向き”といったイメージでしょうか。
なんかこの前向きの例を読んでいるだけで
若干の気持ち悪さがわいてきませんか?
前向き・ポジティブに感じる気持ち悪さの正体
ぶっちゃけた話、前向きな考えそのものもそうだけど、
「やればできる」系のポジティブ精神論者とかも
見ててイラッときませんか?
このイラ立ちや気持ち悪さの要因の一番大きなところって、
一言で言うなら『ムリヤリ感』というところに尽きると思います。
言ってる本人が『ムリヤリ』言ってる感じもあるし、
それこそ人から言われると『ムリヤリ』させられてる感じも
無意識に感じ取っていないでしょうか。
少し心理学的に詳しく説明するなら、
本来感じている気持ちや考えを『抑圧』、
つまり抑え込んでフタしてしまっている状態。
自分がそれを強いられてるように感じれば当然ストレスですし、
自分と直接関係なくても、“前向き”なことを言っている人を見れば、
知らず知らずのうちに自分に重ねてしまったりして、
やはりストレスになるんですよね。
だからと言って、前向き・ポジティブが悪いという
わけではありません。
あくまでも大事なのはバランス、
そして不要な『抑圧』を生まないこと。
ここは大事なところですので覚えておいてください。
前向きになれない原因・理由
実は日本人は大半の人が“前向き”になりにくい
なんとなくですが、欧米人、特にラテン系の人って
日本人と反対に前向き・ポジティブなイメージってないですか?
文化的な背景はありそうですが、
実は最近、それ以前に遺伝子の影響が大きいって言われています。
ホルモンの一種で、気持ちを楽にして、不安をおさえて安定させる
『セロトニン』という物質がありますが、
その『セロトニン』の量にかかわる
『セロトニントランスポーター遺伝子』という遺伝子があるんですね。
その『セロトニントランスポーター遺伝子』は
「S(ショート)型」と「L(ロング)型」があり、
組み合わせが「SS型」「SL型」「LL型」と3種類あります。
「S型」はセロトニン量が少なくなり、
「L型」多くなるため、ざっくり言うと
「SS型」=後ろ向き・ネガティブ
「SL型」=中間、
「SS型」=前向き・ポジティブに感じやすいそうです。
そして、日本人の約8割が「SS型」とのこと。
元来日本人は不安を感じやすく、前向きになりにくい人が大半だし、
裏を返せば前向き・ポジティブ系の人はかなり目立つ存在だということ。
目立つ人が実績をあげたりすれば、
ついみんなお手本にしたくなってしまうというのもありそうです。
(ご興味ある方はこちら↓の論文もどうぞ)
Influence of Life Stress on Depression: Moderation by a Polymorphism in the 5-HTT Gene
いずれにしても、自分ももしかしたら遺伝子というベースの部分で
前向きになりにくいかもということを知っておくだけでも、
変な「ムリ」が和らぐのではないでしょうか。
心身ともに疲れが蓄積している
慢性的に仕事が忙しかったり、長時間労働が続いていたり、
継続的に強いストレスにさらされていると
前向きになりづらくなります。
当たり前のようですが、人間のストレス対応の性質上
なかなか気づかないことも多いんですよね。
人間は過度なストレスを受け続けると一旦は
「なんか調子悪いな…」という状態になるんですが、
その時期はかなり短くてすぐに
抵抗力を高めて“がんばれる”状態にするんです。
でも、そこで気づいてストレスを弱められればいいものの、
そのままいってしまうと、そのうち限界が来て
心身ともに病院のお世話になるほどの状態に…。
この“がんばれてしまう”ところが罠で、
つい「がんばれてるから大丈夫」と感じてしまうんですよね。
この状態って例えるなら輪ゴムをぎゅーっと
伸ばしつづけているようなもの。
仕事などの活動中はぴんぴんに張り詰めていて、
帰宅後や休みの日にはびよんとゆるめるわけです。
ところがあまりにいつも伸ばしていると、
だんだんゴムの弾力がなくなってだるだるになってきますよね。
完全にだるだるになって戻れなくなって、
病院に行かないといけなくなる前に、
「前向きになれない…」と感じるようなことが増えてきたら、
心身の輪ゴムがたるみ始めて疲れが蓄積し始めている
サインと考えたほうがいいですよ。
「闘争か逃走(戦うか逃げるか)反応」で考えも固まる
さらに、「がんばっている」状態は自律神経の
アクセルを担当する部分である交感神経が
かなり優位になっているとも言えます。
これは、目の前にあなたを食べてしまいそうな
猛獣が現れたのと近い状態。
のんびりと作戦を練っている余裕がないので
「戦うか逃げるか」という2択でしか
考えられなくなってしまいます。
脳はピンチと判断していて限られた選択肢からしか選べない、
視野の狭まった状態ですから、なかなか前向きな考えや
イメージに広がりづらいですよね。
「どうせダメ。」という気持ちがすり込まれてしまった
これまでの人生で何回も何回もくじけてしまったり、
何かするたびに厳しい評価をされたり叩き潰されたりしていると、
そのパターンが刷り込まれて染み付いてしまい、
一瞬前向きにいってみようかなと思っても、
すぐに「どうせダメだし…」
「やっても意味ないし…」という気分になり、
やがて意欲自体がなくなってしまうという現象があります。
ここまでにあげた原因と複合していることもありえます。
とにかく前向きなことが本当にいいことなのか?
前向き・ポジティブであることを無条件に“いいこと”だと
思いこんでいないでしょうか?
率直に申し上げますが、その思い込みは
メディア等によって作られた幻想です。
ここからは『前向き』のメリットやデメリットなどについて
考えていってみましょう。
前向きであることが大事なのは『行動』につながるから
前向き・ポジティブな気持ちや考えがなぜ人間に必要なのかと言えば、
それが『行動』につながるからではないかと私は考えます。
人間は生きていくため、成長していくためには
行動することは欠かせません。
特に新しいことに勇気を出してチャレンジして、
失敗も含めて経験していくことが成長の大きな要因ですよね。
そのためのエネルギーがなければ前向きにもなりにくい。
疲れていたら前向きになりづらいということにもつながります。
だからと言ってやみくもに『行動』さえすれば良いというものでもない
たしかに、行動することは大事。
それはそうなんだけど、
一方でめくらめっぽう何も考えず突き進むだけでは、
どこかで取り返しのつかないダメージを負うかもしれません。
いわゆる成功者と呼ばれるような人は、
多くが「とにかく行動しろ!」って言ったりします。
ただしそこには「生存者バイアス」、
つまり語ってるのは結果的に生き残った人だけで、
脱落した人の声はなかなか聞こえることがないとう背景が
あることも気に留めておいて欲しいのです。
そこで役に立つのが後ろ向きでネガティブな気持ちや考え。
それは「このまま突っ走るとまずいかも…」という
ひとつのシグナルです。
人生には目をつむってえいやっと
飛び込むことが必要なときもあれば、
立ち止まってじっくり考えることが重要なときもあります。
前向きも後ろ向きもどちらも人間にとっては大事なものなのです。
何よりも害になるのは“強引な”ポジティブシンキング
ただ、私が心理の仕事に携わって
これだけは間違いないと言えるのは、
本心ではそう思えないのになんとか前向きにとらえようとする、
強引でムリヤリなポジティブシンキングは
意識的に感じている以上に心にダメージを与えること。
たしかに、どこかで前向きにならないと
先には進めないのかもしれません。
でも、だからと言ってその落ち込みや苦しさ、つらさという
感情を力づくでねじ伏せてしまったら、
一旦はごまかせても、いずれそのツケがやってきます。
人間だれにとってもつらいこと苦しいと感じることは
不自然なことではありません。
まずはしっかりとその感情がたとえ後ろ向きで
ネガティブなものであっても感じきってあげること。
「そうだよね。落ち込むよね。」とその感情を認めるように、
自分から自分へ語りかけてあげるのもおすすめです。
ここは次からご紹介する前向きになっていくための取り組みの前に
前提としてぜひやっていただきたいなと思うこところですね
ほどよく前向きになっていくために
ここまでで、前向きであることが絶対的に正しいものではないこと。
後ろ向きになることにも必要性があることをお伝えしてきました。
とはいえ、後ろ向きオンリーでい続けるのも
気分がいいものではないですし、
本当にそのままではそれこそ先に進めません。
そこで、あくまでも自然に前向きになっていくために
できることをいくつかご紹介していきます。
休み方を見直す
最初の方でお伝えしたとおり、
心身ともに疲れていては前向きな気持ちもわいてきません。
当たり前すぎて「そんなの分かってる!ちゃんと休んでるよ!」と
もしかすると思われるかもしれませんね。
でも、休んでいるつもりでも実は心も身体も
バランスよく休ませられていない方って案外多いんです。
よくあるのが、家でゴロゴロしていることが
休みになるというカン違い。
たしかに、たくさん身体を動かすようなお仕事等の後には
それも良いかと思いますが、
逆にデスクワーク中心の方の休みには、
それだけではちょっと不足。
気分をガラッと変えられて、
身体も動かしてあげるようなことが大事です。
最もシンプルなのはウォーキングでしょうか。
あまり、トレーニングっぽくせず、
散歩気分で知らない道を歩いたりするのがおすすめです。
電車にのって降りたことのない駅で降りて
ぐるっと歩いてくるのも小旅行気分になっておすすめです。
もちろん、ウォーキングでなくても気分が変えられて、
軽く身体を動かせることがあれば、
いろいろ試してみると良いと思います。
また、もし生活リズムが乱れているようなら
それを整えることもできればベターですね。
とことん考える。ただし3つ以上の視点で
後ろ向きモードに入ってしまうと、次から次へと
悲観的なことばかり思い浮かんでしまいますよね。
この“思い浮かんでしまう”というところが1つ目のポイント。
思い浮かべようとしているわけではないのに
“思い浮かんでしまう”ということは、
自分でコントロールできていないということ。
だから、
「よし、今から飽きるまで徹底的に悩んで考えてやるぞ!」と
自分の意志で考えることでコントロール下においていくのです。
そして2つ目。
まずパッと出てくる悲観的で後ろ向きな考えに対して、
「いやいや、そんなことはない。」と半ば無理に前向きに考える。
この2つで考えるところまではよくやるところかなと思います。
ところがここで終わらせてしまうと、
何回もお伝えしているように、
ただ感情を押さえ付けて苦しくなるだけ。
これを打破するには、なんとなく思い浮かぶ以上に
あえてもっとありえないくらい悲観的なことを考えること。
そんなことしたらもっと落ち込みそう?
そう心配になるのももっともですが、
嫌な気持ちは避けようとすればするほど反抗を強めます。
逆に悲観的を通り越して滑稽なくらいなことを考えると、
元々あった後ろ向きな気持ちや考えが
弱まって見えたりするんですね。
結果バランスがとれて、客観性が増し、
かなり意識が自由になってきます。
慣れてきたらそれぞれを一通り考えて、
また視点を変えてというように順繰りに考えていくと面白いですよ。
飽きるころには結構すっきりしていることうけあいです。
それでも考えることが心配なら、
カウンセラー等と一緒に考えるのもおすすめです。
ちょっとしたことこそ自分をほめる
バカらしいと感じるかもしれませんし、
どこにでも書いてありそうなことだと思うかもしれません。
でも、やっぱり大事なんですよね。
なぜかというと心の栄養になるからです。
身体が疲れていたら動けないのと一緒で、
心も栄養が不足していたら動けません。
だから、できる限り栄養を補給していくに
越したことはないわけです。
ただ、注意する点やコツはありますので、
しっかりと説明していきます。
まず、1点ですが、
「すっげー!」「めっちゃいいやん!」みたいにお調子者の友だちが
心の中でヨイショしてくれるようなイメージでほめること。
『ほめる』というより『感心』するといったほうが近いかもしれません。
もしこれが合わないというときには優しく言ってみたり、
淡々と事実を羅列したりなど違う言い方がハマるのかもしれません。
カウンセリングだといろいろ実験してみたりしますね。
そしてもう1点はちょっとしたことかつ、
確実にできたことをほめること。
たとえば、
- 朝起きられた
- ごはんを食べられた
- 歯磨きができた
- お風呂に入れた
これくらいの日常生活でできた程度のことからでOKです。
逆にしょぼすぎておちょくってるように感じてしまったり、
しょうもないように感じたりしますか?
でも、前向きになれないくらい凹んでいる状態にもかかわらず、
生きていくために必要なことをこなしたんですよね?
それって十分に素晴らしいことじゃないですか?
どうしても素直に受け入れられない方は自己否定や自責傾向が
かなり強い可能性もあります。
よかったらこちらの記事もご参考にしてくださいね。
反対に今の自分とかけ離れたほめ言葉や自画自賛は
逆効果になりえますのでおすすめしません。
「会社で一番だね!」とか「自分は本当はできるんだ!」などは
ギャップに気づいたときに余計に苦しくなりますし、
まさに強引なポジティブシンキングによる
感情抑圧のひとつとも言えます。
仕事のことなどでほめるなら
「仕事を一日やりきったたこと。」
「自分なりにがんばったこと。」などのほうが健全ですね。
まとめ
長い記事を最後までお読みいただきありがとうございます。
なにかしらあなたのお役に立てたなら嬉しいです。
逆にこの記事に書いてあることを試しても全然ダメ…
余計ひどくなった気がする…
あるいは休んだりはしているのに、あまりにも長い期間
前向きな気持ちが全然わいてこないというくらいだと、
かなり参ってしまっている状態かも。
病院を受診したり、カウンセリングを受けることを
検討したほうがいいかもしれません。
それではまとめです。
- ムリに前向き・ポジティブになろうとするのは害が大きい
- 前向き・ポジティブが大事なのは『行動』につながるから
- 後ろ向きにも重要な役割がある
- 後ろ向きになってしまうことや落ち込んでしまうことを自分で認めてあげる
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